ネイリスト、妊娠しても働ける?報告はいつ?制度や産後の働き方
ネイリストはほとんどが女性の世界。たくさんの人が働く大きいネイルサロンでは、結婚妊娠の報告は本当に良く耳にします。
とっても喜ばしいことですね。

さて、ネイリストの仕事をしている中、妊娠をしたらどのような影響が出てくるのでしょうか?
想像をしたことはありますか?
今回はネイリストとしてみてきた実情や、私たちネイルデザインではどうなのか、ご紹介したいと思います。
産前・産後のサロンでの現状
妊娠=退職じゃもったいない! 働くサロンの制度をチェックして
妊娠発覚したらまもなく、多くの妊婦さんはつわりに苦しみます。少し気持ち悪いくらいで仕事には問題ない人もいますが、ひどいと水分さえとることができず、毎日病院に点滴に行くことも。
つわりが終わるまでの辛抱とはいえ、今にも吐きそうな中電車に乗って出勤するなんて考えただけでもぞっとしますよね。
体調が変わりやすい初期は、急に体調が悪くなり休まなくてはいけないことも出てきます。
しかし、予約がいっぱいのサロンやネイリストの数が少ないサロンでは、急なお休みはその穴を埋めることが難しいです。
その為、妊婦本人がそれに対して引け目を感じてしまい、働き続けるのは難しいと判断し退職する人が多いのが現状です。
残念ながら、体調に合わせて柔軟に働ける制度があるサロンはまだまだ少ないんです。
1年以上勤務していて健康保険に加入していれば、産前産後休暇や育児休暇で給付金がもらえますが、早くに辞めてしまうともらうことはできません。
これはもらえるのともらえないのとでは100万以上の差が出てくることもあるので、なんだか今までの頑張りもむくわれませんよね。
できるだけ好条件で働けるようにこの記事を読んで備えておきましょう!
産後は就職が難しい現状。ママネイリストが活躍するサロンをチェック!
産後はというと、基本的に月~金に子供を保育園に預けてお迎えの時間までの数時間働く事になりますが、ほとんどのネイルサロンは、週末と平日の18時以降がお客様でにぎわう時間。産後のママの働ける時間とネイルサロン側との需要が合わないんです。
長く働いていたサロンであれば、復帰後も指名客が合わせてくれたり、裏方の仕事を与えてもらえたりするかもしれませんが、妊娠して退職して、また新たにネイルサロンで働きたい場合は、なかなか就職先が少ないのが現状です。
もし今働いているネイルサロンに子持ちママがいてイキイキ働いていたら、未来は明るいですね。
一つの例として、後ほどネイルデザインでの産後ママの働き方をご紹介します。
上司への報告のタイミング
妊娠すると、上司や周りへの報告のタイミング、迷うものですよね。一般の会社では、直属の上司だけには早めに報告して、安定期に入ってから周りの人へも報告することもあるようですが、ネイルサロン勤務では、急に休まないといけない場合に備えて、上司(マネージャーや店長副店長)だけでなくスタッフにも早くから知っていてもらった方が安心です。
病院に行って妊娠が判明したら上司には早々に報告し、周りへ知らせるタイミングなど相談しましょう。
初期が一番無理は禁物な時期ですので、もしものときには協力してもらえる体制をとっておくのがベストです。
妊娠中の働き方
体調が良ければ、これまでどおり働けます。私の知り合いにも産休に入るまで働いていた妊婦さんがたくさんいます。お客様と不安なことの相談や、子供の名前候補などのお話しをしていて楽しそうでしたよ。
後期になるとお腹がかなり大きくなるので長時間の前傾姿勢が辛くなります。
フットの施術はさけてハンドのみに入れるように上司に相談しておきましょう。
お腹が張ったときは無理せず張りがおさまるまでは休みましょう。
臨月はお腹が邪魔でなかなかハンドの施術も難しいと思います。
デスクワークをまわしてもらったり、産前休暇に有給をくっつけて早めにお休みに入れると良いですね。
参考までに、私たちネイルデザインでは、妊娠したらすぐに上司と同じ店舗のスタッフに報告することになっています。
体調次第では、他店へのヘルプ出勤や、オープンクローズシフトは外します。
他にも、予約をカットして休める時間がとれたり、当日の体調を見てその日に出勤できるかどうか決められる制度をとっているので、不安が軽減されます。
大きい会社だったり、社長や役員が子持ちの女性だったりすると、制度が整っていたり、柔軟に働ける可能性が高いです。
気になるアセトンや薬剤の影響は?

つわり中臭いもきになりますが、それ以上にネイルサロンで使用されているアセトンやアクリルリキッドなどの有機溶剤の胎児への影響、気になりますよね。
換気して使用している分には問題ないという意見もありますが、アメリカの論文では有機溶剤によって、流産や低出生体重児、心拍異常、腸ヘルニアなどの奇形などの確率は増加すると書かれています。
それがどのくらいの量に対する事例なのかは明らかではなくなんとも言えないようですが…。
産科医によると、できれば妊娠期間中は有機溶剤に極力触れない環境での就業が望ましいとのこと。
最近ではジェルメインになりアクリルリキッドはほとんど使用しないサロンの方が多いですよね、アセトンフリーのジェルオフ剤を使ったり、換気はもちろんマスクを着用する・皮膚についたものは洗い流す、など対策はしっかりやっていきましょう!
ちなみに私は溶剤を扱う時はマスクの下にガーゼやコットンを挟んでなるべく臭いを緩和させ、吸わないようにしていました。
そして余談ですが、10年以上前のアクリルスカルプチュア全盛期にいたネイルサロンでも、先輩ネイリストはみなさん元気な赤ちゃんを産んでましたよ。
妊娠出産に関する制度、ネイリストも使えます!
妊娠出産時に利用できる制度を知っておきましょう。簡単にご説明します。産前産後休業
産前は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、産後は出産の翌日から8週間、お休みできます。〈給付金〉
①出産手当金
1年以上働いていて健康保険に加入していれば、お休みした期間もお給料の3分の2の金額が受け取れます。
②出産育児一時金
一律42万円支給されます。
育児休業
産後休暇後、子供が1歳になる誕生日の前日まで取ることができます。(条件により、最大で子供が2歳の誕生日を迎える前日まで取ることができます。)
〈給付金〉
普段のお給料の67%(育児休業開始から半年たったらその後は50%)が雇用保険から支払われます。
病傷手当
重度の妊娠悪阻・切迫流産・切迫早産・妊娠高血圧症候群などで連続して3日以上休んだ場合、4日目以降から給付金(給料の約3分の2)がもらえます。産休育休がとれるサロンの見分け方
さきほど説明した制度は基本的には正社員もパートも利用できる制度です。ただ、規模の小さいネイルサロンや保険加入すらしていないネイルサロンでは対応しきれないこともあります。
入社を決めるときに保険や産休育休制度については確認しておきたいものですね。
過去や現在に産休や育休を取っている人がいるかどうかが大事なポイントになります。
産後の働き方
産後の働き方は産前とは変わってきます。限られた時間の中でどのような働き方ができるのでしょうか?
サロンへの復帰
今まで働いていたサロンへの復帰であれば、時間は限られますが同じように働ける事が多いです。お客様に子どもがいる方が多いサロンでは、話も合いますしママネイリストは大活躍できますね。
急なお休みに関しても理解や協力がもらえるように、日ごろから上司やスタッフと良い関係を築いていきましょう。
長く働いてきたサロンでは、サロンワークではなく裏方のサポート業務を中心に仕事をふってもらうこともできるかもしれません。
ある程度の役職までついていた場合は、復帰後も働きやすいようです。
新しいサロンへ就職
難しい道ではありますが、不可能ではありません。面接で、家族の協力があり子どもがいても安心して働ける環境であることをアピールできるとよいですね。
実力も必要ですので最新のトレンドにうとくならないようにお休み中も研究しておきましょう。
自宅サロン開業
出産を機に、自宅サロンを開き、自分の働ける時間に合わせて仕事をする方もいます。技術職ならではですね。ただし、集客をするには時間とお金がかかるものなので、最初は収入を高望みせず、コツコツとママ友やSNSから口コミで広げていく人が多いようです。
スクール講師
私の周りには、全国展開しているネイルスクールの講師として再就職する人が多かったです。時間や働き方も選べるのでママでも働きやすいです。講師資格を持っていれば、講師の道もおすすめです。
ネイルデザインの働き方紹介
ちなみに我が社では、産後のママたちは試験的に直営サロンprishとは別のカタチで働いています。出勤可能な時間に集客アプリを使ってそれぞれが集客します。
子どもの急な体調変化や、保育園からの呼び出しにも対応できるように、予約を変更していただく可能性をあらかじめお客様にもご了承いただいています。
まだまだ試行錯誤しながらの営業ですが、今後もっと増えていくママネイリストが安心して戻ってこられる環境をととのえたいという想いで、日々ママネイリストやマネージャーたちが頑張っています。(そんなマネージャーも2人がママ&2人育休中です)
長くネイリストとして働くためには
せっかく身に着けた技術を活かして長く働くためには、家庭と職場、双方が働きやすい環境であることが大切です。
家庭では旦那さまとの協力体制をつくり、何かあったときには交代で子どもをみれると安心ですね。
お母さまが近くにいたら、保育園に預けられないときに助けてもらう、急な呼び出しに対応してもらうなど、最初はいろいろ甘えて助けてもらいましょう。
職場では、制度が実際に利用できるかどうか、理解を得やすいかどうかとても重要です。
もちろん協力してもらうばかりではなく、自分も会社に貢献できるように(会社にとっていてほしい人材でいられるように)、努力も必要です。
技術や接客力を磨いたり、幅広い仕事ができるようにスキルを身に着けたり、先を見据えて今できることをやっていきましょう!
まとめ
ネイル業界はまだまだ制度面でも発展途上です。厳しい現状は事実です。しかし一般企業のような制度は整ってはいませんが、サロンが増え、少しずつですが会社側もスタッフに選んでもらえるように努力をするようになりました。
今後はもっと女性の働きやすさについて考える会社が増えていくことを期待しています。
一人でも多くのネイリストが、子供や家族を大切にしながら働ける環境でお仕事ができるように祈ってます。
この記事を書いた人

マネージャー
デザイン担当
講師として、試験官・審査員として幅広く活動。
ネイルデザインでは、経験を活かし採用・教育・広報・新店企画など幅広い業務に携わる。
現在は子育てをしながら、デザイン業務を担当。